|ラドアンテナTop|製作のノウハウ|製作・調整に必要な測定器|設置方法|性能検証|技術考察(1)|技術考察(2)|失敗作例|他のアンテナとの比較考察|よくある質問集(Q&A)|自作ユーザー各局のご紹介|
|ラドアンテナTop|製作のノウハウ|製作・調整に必要な測定器|設置方法|性能検証|技術考察(1)|技術考察(2)|失敗作例|他のアンテナとの比較考察|よくある質問集(Q&A)|自作ユーザー各局のご紹介|
開発者のコメントの一部を引用します。
「集中定数的アンテナなとどと言っても一般に認められている訳ではありません。一般的に使用されているアンテナはエレメント上に定在波を発生させるか、進行波を乗せるかの動作しかない。ところが、Super Radの円周上の電流を考えると、一定の電流が流れかつ時間とともに増減しているに過ぎない。理論的には微少な磁気ダイポールと呼ばれているアンテナです。しかし、これを実現するのは難しい。私が集中定数的と言っているのは、シリンダ上の電流が一定であり、かつ定在波でもなければ進行波でもない、正に集中定数的回路素子に電流を流すだけで、電磁波を発生させてしまっている点です。電磁波の発生自体は別段変わったものではありません。ただただ、マックスウェルの方程式に従っているにすぎません。分布定数回路を利用しているのか、集中定数を利用しているのかの違いです。 分布定数では、容易に電位のムラを作ることが出来る。集中定数ではそれが出来ないから、電流の路を曲げてやれというわけです。」(JA2PGU)
※2014年1月時点の知見では集中定数として扱えるかは、磁気の観点からは疑問であるという見解になっています。
正直驚きました。こんな事が実際に起こり得るものなのかと。
開発者もこのアンテナを開発した時点でこの理論に気付いていた訳ではなく、色々な実験や検証を重ねている内に気付いたのです。実際にこのアンテナを作っていくと今までのアンテナの概念が全く通用しないことを痛感します。
確かに、コイルとシリンダやディスクで構成されたスーパーラドアンテナは集中定数的な構造であって、従来の考え方では電磁波の発生はあり得ない。ですから、フィーダー輻射説だのアース輻射説が出てくる訳です。しかし、電流をシリンダやディスクに流した時の誘導電流というものの挙動が曲者なのでした。単に電流が流れるだけでは駄目なのですが、その電流が移動すれば話は変わってきます。この移動が大きな放射(輻射)抵抗を生み、がアンテナとして動作させることが判ってきたのです。
証明の方法はいくらでもありますが、一例として、ごく簡単な実験を行っています。
http://blogs.yahoo.co.jp/piisuke55/30847586.html
仮に同軸やアース線がエレメントだとすると実験のように共振周波数以外は全く受信不能などとはなる筈がありません。それも、3.5MHzに共振したアンテナが僅か3mのビニール線より受信出来ないのです。この実験についての反論は未だ伺っていません。
既に賢明な諸氏にはお判りかもしれませんが、当局や仲間の実験・研究の方向は、
にある訳で、様々な方向(材料、構造、配置)を実験し検証しています。既に原理・原則的なノウハウはかなり蓄積しましたので、検証による事実の確認作業を行っています。
従来のアンテナでは波長(周波数)によってエレメントの設計が行われますから、どうしても低い周波数になればなるほどエレメント長が必要になってきます。ところが、スーパーラドではそもそも「エレメント」という概念そのものがシリンダーに置き換わってしまい、そのシリンダーも波長に対する大きさ」という概念が無用なのです。
どういうことか。当初、私を含む仲間たちもシリンダーの大きさ=エレメントの大きさという概念に囚われ、大きなシリンダーを作ってしまいがちでした。しかし、実験を続けていくうちに、シリンダーの大きさと輻射の強さにはワイヤーアンテナのような相関関係が見られないという事実に気付いていくのです。むしろ、大きなシリンダは性能を低下させてしまいました。(大きさを無視出来るという事ではありません。適当なシリンダサイズは必要です。)
このことは、システムとして電磁波輻射の効率がワイヤーアンテナのように長さや大きさにそれ程大きくは依存していないという事を示唆しています。アンテナは供給された電力の一部(又は全部)を電磁波に変換する回路ですが、供給された電力を消費させる抵抗分=輻射抵抗が大きければ大きいほど輻射効率が高いアンテナと言えます。ワイヤーアンテナでは大きな輻射抵抗を得るために長く、大きく、伸張・展開してきました。スーパーラドアンテナのように、小さなエレメント=シリンダ又はディスクで充分に大きな輻射抵抗が得られれば、物理的な大きさは意味を持たないと言うことなのです。
最近の知見ではコイル径の2倍程度以上のシリンダは不要ということが判っています。
空芯コイルがベストと考えていた我々にメインコイルにフェライトコアを使用するというアイディアが仲間からもたらされました。
この方法のメリットは、
1)メインコイルが非常に小型化される結果、更にアンテナが小型化される。
2)コイルのQが下がることで帯域が多少広くなり、調整も簡単になる。
3)周囲の影響を受けにくい傾向にあり、架設時の再現性に優れている。
残念ながら、この方法は空芯式に比べて性能が大幅に落ちる結果となってしまいました。スーパーラドアンテナは「コイル性能=アンテナ性能」ですから、フェライトコアを使う事による損失(高周波損失・ヒステリス損失)が大き過ぎたためだと思います。感覚的には、空芯タイプの5-6割程度の実力ではないかと思います。それでも、この方法を用いると小型でも大きなインダクタンスが得られますから、LF帯などでの活用は充分考えられます。
(試作実験中のフェライトコアコイル、平板シリンダーのスーパーラド)
(写真提供)JA1JYC/中村OM
スーパーラドが磁力を扱う以上コイル形状を変えることは当然考えられる事柄でした。しかし、これまでソレノイドコイルで実験を進めていた我々には目から鱗であったことも事実です。
トロイダルコイル式はその形状からディスクタイプでの実験、研究が始まっていますが、ソレノイドに比べて漏れ磁束が極めて少ない形状であるため、更なる性能アップが期待できます。が、同時にその形状から新たな耐圧問題もあるようです。それでもトロイダルコイル方式には様々な可能性が秘められており、今後の実験結果が楽しみです。
トロイダル+ディスクの組み合わせ (写真提供)JA1JYC/中村OM
トロイダルコイルで良い性能が出るなら形状をスパイラルにしても良いはず。過去に扁平コイルを実験していた仲間が居たことが幸いしました。
扁平にしてしまえば更に小型化が可能です。しかも、驚いたのはその結果です。扁平コイル型はその形状をうまく利用することで意外な性能を発揮してくれるようなのです。
JA1JYC/中村OM試作の写真のものは、スパイラルコイルがボビン内に実装されているため、外側からはシリンダしか見えません。
スパイラル+シリンダの組み合わせ (写真提供)JA1JYC/中村OM
ある時、「位相給電してやったらビームにならないのかな」という会話から実験が始まっています。現在の所、ゲインが上昇しているかどうかは判然としていませんが、輻射方向や打上角を変えられるような結果が出始めました。
上記のいずれの方法の可能性の実験・研究も1人、2人で出来るような内容ではありません。多くの仲間が必要です。互いの知見を共有するためのSNSを用意しています。詳細はこちらのメールフォームからお問い合わせください。
どのようなアンテナであれ、そのアンテナの指向性と利得(ゲイン)は一番最初に知りたい情報ではないでしょうか。私とその仲間も同様に思っています。問題は我々アマチュアには客観的なデータを得るだけの測定環境や設備が用意しずらい点です。それでも、有志のOM諸氏からの情報や私自身の実験結果から判明していることをお知らせします。(記述は随時変更されることがあります)
■指向性
偏波は、シリンダタイプ、ディスクタイプ共、垂直設置で水平偏波、水平設置で垂直偏波です。水平偏波では無指向性、垂直偏波では指向性があります。シリンダ(ディスクは未検証)方向で最大、ボビン下側方向で最低になるようです。
■利得(ゲイン)
検証中です。
ソレノイド+シリンダタイプを使った144MHz帯での実験では、水平設置(垂直偏波)のシリンダ方向で+数dB程度と思われるQSO結果を数回得ていますが、確証を得るにはQSO数が足りないと思っています。
このページについて
このアンテナに関する知見は、現時点での当局の実験・試行錯誤、開発者からのアドバイス、同志の諸OMの実験結果の末に知り得た情報や結果に由来します。
つまり、情報が正確であることやアンテナの性能を保証している訳ではないと言うことをご理解ください。
大きな可能性を秘めていると我々が確信しているこのアンテナを広くみなさんに知って欲しいと願っているだけです。
このアンテナにはまだまだ未知な部分があり、私を含め仲間たちはその探求を行っているのです。